境界立会代行センター

なぜ土地を売るとき境界立会をするの?

土地の売買契約書には、通常「第○条 売主は境界の明示をすること」との文言があります。これは一般的に「売主の境界明示義務」といわれています。

この義務を大阪高裁 昭和61年11月18日判決を参考に、そのポイントを説明します。

判決のポイント

(1)不動産仲介業者の義務
不動産仲介業者は、買主からの特段の指示がない場合でも、販売対象土地の範囲が不明確な場合には、「その境界を明示することによって買主に土地買受けの目的を達成させ、損害の発生を未然に防止する義務」があります
仲介業者の採るべき調査方法は、現地において、売主から当該土地の境界の指示説明を受け、境界線を確認することが原則です。当該境界部分に境界標がなく境界が判然としない場合には、土地家屋調査士に依頼するなどして隣地所有者に立会を求め、売主と隣地所有者で境界を相互確認するなど、さらなる調査・確認をする必要があります
なお、不動産の売買契約では、「公簿売買」もしくは「公簿面積売買」とする特約条項が付されている場合が多くあります。 これは、「売買代金を計算する根拠として公簿面積を基準にすることを明らかにしているだけ」で、売主や仲介業者の境界明示義務を減免するものではありません。
(2)売主の境界明示義務違反による賠償義務
境界明示義務に違反し土地を売却すると、「契約の本旨に従った履行をしなかった」として、債務不履行による「損害賠償責任が売主」に生じる場合があります(民法415条)。